これは、コールセンターで新人育成(OJT)の担当をしていた時のお話です。
基本的にコールセンターでは基本的なマニュアルに従ったの返答、アクションによって公平なサービスをお客様にお届けするものだと理解しています。
それを踏まえたうえでこのお話を読んでいただけましたら幸いです。
態度編
あなたは先輩でしたっけ?
閑散期に入ってきた新人Aさん。なぜかいつもスーツ姿で形だけはできるサラリーマン風。
しかし、形にこだわるあまり勝手に対応してはいけないお客様に対応しクレームをつくったり、
その報告がなかったりで、まずは先輩の音声を聞き、どんな行動をしているか手本を見せる段階から指導が始まりました。
閑散期だったので、お客様に連絡をしても留守電の吹き込みなど、あまり勉強になるものがなく、正直暇だろうなという感じでした。
しかしAさんは熱心にメモを取り、行動のたびに横でうなずいていました。「あまり勉強にならなくてごめんね」と声をかけると、
ピシッと背を伸ばしてAさんは「いえ、そんなことありませんよ。先ほどの留守電の吹き込みよくできていましたよ。」
となにやら上から目線。ほめられているのだか馬鹿にされているのかよくわかりませんでした。
結局Aさんは、自分が通常の仕事をさせてもらえていないと気づき去っていきました。
卑下しすぎです。
そもそも電話が苦手、話すのもあまりうまくない、と自信のない新人Bさん。
契約済みのお客様に連絡をするお仕事でしたが、常にびくびくしていて、最初のうちは緊張で声も震え、
何を言っているのかわからなくなることもしばしば。
しかし、基本には忠実ですし、タイピングも速い。慣れれば大丈夫かなという程度の新人さんでした。
あまりに自信がないので心配になり、少しだけ雑談の時間をとってその中で仕事についてどう思っているか聞いてみました。
すると「この会社では私を必要だと言葉に出していってくれたので本当にうれしい。だから早く役に立ちたい」と前向きな発言。
安心して「頑張ろう」と言うと、その返答が、「はい!今のままじゃお前いらないって言われますもんね!頑張ります!」
そんなことうちの会社じゃ言いませんし、あなたできてるほうですから!と言っても卑下するばかりで一向に変わらない。
ネガティブなまま独り立ちしましたが、気付けば今度は新人を育成する側になっていた、衝撃の変貌を遂げた新人さんでした。
行動編
何もしない…。
かなり若い年齢の新人Cさん。
何度かOJTで担当させてもらったのですが、同じミスが目立ち、担当につくたび毎回同じ指導をしなければならず、
なかなか前に進みません。
なぜ覚えられないのか一緒に考えてみましたが、
本人曰く「もともと物覚えが悪い」とのことでした。
そのまま指導に当たり気づいたのが、メモを全く使っていないということでした。
新人さんには言われたことをメモするためにノートが渡されていて、机上研修の時からそれを利用するよう指導があったはずなのに
全く活用できていませんでした。
「メモをしてみたらどうかな?」と提案するもしてくれず、「メモをしてください」と言ってもダメで、
「お願いだからメモをしましょう」と言ってやっと一つのことをメモしてくれました。
そして別のことを教えても、その都度言わないとメモができない状態。
メモをしても今度はメモを確認することも言わなければしない状態でした。
結局覚えることが多すぎて無理と言って去っていった新人Cさんでした。
新人の自覚とは。
気分にむらのある新人Dさん。
人によって態度も変わり、やる気は口だけで反省もない、そんな方でした。
ある日、Dさんのミスが原因でOJT担当の私も残業する流れになりました。「今日、少し残れるかな?」と言うと
Dさんは「えー、それってー明日でもいいですかー?」とヘラヘラ。
オペレーターは毎日席が変わるので仕事を翌日に繰り越せないのです。
それを説明したうえで残れるか聞いても「でもー遅くなりますよねえ」と残業してほしいと言っているそばから端末の電源を落とし始めたのです。
あまりの態度に、私が残りをし、内容を翌日指導することに。
帰り際に仕事をしている私の後ろを「じゃあお先に失礼しまーす!」と元気良く帰っていきました。
一部始終を見ていた上司が翌日別室で注意し、そのあとDさんを会社で見かけることはありませんでした。
多くの方は大丈夫。
今回例に挙げた新人さんはほんの一部の衝撃的な方でした。
仕事を覚えたいという気持ちと態度が伝われば、こんなことにはならないと思います。
言われたことを真摯に、忠実にさえすればコールセンター業務は怖くありません。